古賀春江資料室

洋画家・古賀春江(1895-1933)のデータベースを制作中です。

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凡例とカテゴリの説明

◯凡例

1.古賀春江が生前に発表した詩や文章を入力するにあたり、以下の文献を底本としました。

●古川智次編 古賀春江文集『写実と空想』(中央公論美術出版) 1984年10月20日発行(初版)

上記の文献の「あとがき」(編者による)には「編集にあたっては、原文を尊重することにし、明らかな誤字・脱字には正しい文字を添え、若干の難字にはルビを付した。」との但し書きが記されていますが、ブログの形式では底本を完璧に再現するのは困難なので、当ブログでは底本をなるべく正確に入力するために以下の体裁を採りました。

 誤字例  広々とした田甫の〔#「甫」の横に「圃」〕中に
      不思議な情奇の〔#「情奇」に「ママ」の注記〕虜となる
 脱字例  凍るばかりの水の中へ丸裸〔を〕浸すのである
 ルビ例  その心算《つもり》で見て欲しい
      周囲が又│恁那《こんな》│風ですから

くの字点は「/\」で、濁点付きくの字点は「/″\」で、傍点の付いた文字は太字で表しました。
また、今日の人権意識に照らして不適切と思われる語句・表現については、時代的背景と作品価値を鑑み、文学作品の原文を尊重する立場からそのままとしました。
初出データに関しては以下の文献を参照しました。

●図録『新しい神話がはじまる。古賀春江の全貌』(2010年、東京新聞)所収「主要文献」(石橋美術館、神奈川県立近代美術館編)

2.「作品目録」の各項目は、タイトル、制作年、技法・材質、寸法(タテ×ヨコ)の順に記載しました。寸法の単位は(cm)ですが、文中では省略しました。また、画家の生前に展覧会に出品された作品については、初出の展覧会名を記載しました。
「作品目録」を作成するにあたり、主に以下の文献・ウェブサイトを参照しました。

●図録『新しい神話がはじまる。古賀春江の全貌』(東京新聞) 2010年発行
●図録『詩情と幻想の世界 古賀春江回顧展―生誕80周年記念―』(福岡県文化会館) 1975年11月8日発行
●図録『古賀春江資料展』(北九州市立美術館) 1976年6月26日発行
●図録『古賀春江 創作の原点 作品と資料でさぐる』(ブリヂストン美術館、石橋美術館) 2001年発行
●古川智次編『近代の美術 第36号 古賀春江』(至文堂) 1976年9月1日発行(初版)
独立行政法人国立美術館 所蔵作品総合目録検索システム http://search.artmuseums.go.jp/

3.「作品の紹介」の各項目は、タイトル、タイトルの英訳(不明の場合は省略)、制作年、技法・材質、寸法(タテ×ヨコ)、所蔵者名、展覧会歴、出典の順に記載しました。「展覧会歴」にあげた展覧会は原則として初出展、個展および古賀春江の作品が相当数出品された展覧会に限りました。記載事項は開催年、展覧会名、会場、出品番号の順です。なお、作品の図版はサムネイル表示であり、クリックすると拡大された図版が表示されます。

◯カテゴリの説明

「未分類」 どこに分類していいか判らなかった記事を掲載しております。
「詩」 古賀春江が生前に雑誌で発表した詩、または没後に詩画集『古賀春江』(春鳥会、1934年)に初めて収録された詩が掲載されています。
「解題詩」 『古賀春江畫集』(第一書房、1931年)に収録された絵の解題詩が掲載されています。
「評論・随筆等」 古賀春江が生前、雑誌に発表した評論や随筆、その他雑文が掲載されています。
「書簡」 古賀春江が他者に宛てた葉書・手紙の文面が掲載されています。
「作品の紹介」 当ブログのメインコンテンツです。現存する古賀春江の絵画作品の図版を可能な限り掲載してカタログレゾネを制作する予定です。
「作品の紹介(参考)」 古賀春江の絵画作品のうち戦争による混乱などで行方不明のもの、または、古賀春江作とされていても偽作の疑いがあるものの図版を参考資料として掲載しました。
「文献の紹介」 古賀春江に関する重要文献を写真付きで紹介しております。
「作品目録」 古賀春江の絵画作品の目録です。閲覧者の便宜を図るために技法別、所蔵者別に分類しました。なお、古賀春江作とされていても偽作の疑いがあるものは除外しております。
「文献目録」 古賀春江の自筆文献、または古賀春江に関する記述のある文献の目録です。
「人物事典」 古賀春江と関わりのある人物のプロフィールを掲載しました。
「限定公開」 所蔵者の許可が得られなかったために当ブログで公開できない作品図版をパスワードを用いて限定公開しております。
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  1. 2021/01/01(金) 00:00:00|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

当ブログの主宰者からの告知

◯現在、以下のアンティーク絵葉書を探しております。

古賀春江《涅槃》(第10回二科展) 原色版
古賀春江《》(第11回二科展) 原色版
古賀春江《》(第12回二科展) 原色版
古賀春江《動物》(第14回二科展) 原色版
古賀春江《黄色のレンズ》(第17回二科展) 原色版
古賀春江《仮説の定理》(第18回二科展) 原色版

当方は以上の絵葉書の購入を検討しておりますので、これらの絵葉書をお持ちで譲っても構わないという方は是非メールフォーム宛に御一報下さい。

◯現在、以下の目録を探しております。

目録『古賀春江氏遺作水彩画展』(1933年、銀座紀伊國屋ギャラリー)
目録『古賀春江遺作回顧展覧会』(1935年、新宿紀伊國屋書店ギャラリー)
目録『古賀春江遺作展覧会』(1941年、銀座資生堂ギャラリー)
目録『古賀春江遺作油絵水彩展覧会』(1941年、日動画廊)
目録『異色作家展シリーズ第29回 古賀春江展』(1963年、渋谷東横 東館7階画廊)
目録『古賀春江の水彩』(1965年、東京国立近代美術館)
目録『詩情と幻想の画家 古賀春江展』(1981年、大牟田市・いづみ画廊)

当方は以上の目録の購入を検討しておりますので、これらの目録をお持ちで譲っても構わないという方は是非メールフォーム宛に御一報下さい。
  1. 2019/01/01(火) 00:00:00|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

《裸婦》




裸婦

制作年未詳
油彩・カンヴァス
53.2×65cm
右下にサイン:Koga-Harué
所在未確認

掲載文献:
目録『第400回毎日オークション 2013.4.6』(毎日オークション、2013年) no.105



出典(図版):目録『第400回毎日オークション 2013.4.6』(毎日オークション、2013年)p.123
出典(作品データ):目録『第400回毎日オークション 2013.4.6』(毎日オークション、2013年)p.123


〈解説〉
「東京美術倶楽部鑑定委員会」鑑定証書付。オークション開始価格400〜600万円。現在、所在不明。
  1. 2017/12/16(土) 20:59:54|
  2. 作品の紹介(参考)
  3. | コメント:0

《梅》





Plum blossoms

1920年頃
鉛筆、水彩・紙
28.5×39cm
左下にサイン:HARUÉ KOGA
所在未確認

展覧会歴:
1975年 「古賀春江回顧展─生誕80周年記念─」(福岡県文化会館) no.38
1976年 「古賀春江資料展」(北九州市立美術館) no.19



出典(図版):図録『古賀春江回顧展─生誕80周年記念─』(福岡県文化会館、1975年)n.p.
出典(作品データ):目録『古賀春江資料展』(北九州市立美術館、1976年)n.p.
  1. 2017/12/14(木) 20:00:46|
  2. 作品の紹介(参考)
  3. | コメント:0

《センメンキ》

scan-007_2_convert_20171210140031.jpg


センメンキ

制作年未詳
水彩・紙
23×32.2cm
左下にサイン:HARUÉ KOGA
所在未確認

展覧会歴:
1975年 「古賀春江回顧展─生誕80周年記念─」(福岡県文化会館) no.41



出典(図版):図録『古賀春江回顧展─生誕80周年記念─』(福岡県文化会館、1975年)n.p.
出典(作品データ):図録『古賀春江回顧展─生誕80周年記念─』(福岡県文化会館、1975年)p.119
  1. 2017/12/10(日) 14:31:39|
  2. 作品の紹介(参考)
  3. | コメント:0

金井美恵子

金井美恵子(かない・みえこ) 1947年11月3日〜

小説家。群馬県高崎市生まれ。[著名な人物につき、プロフィールのうち古賀春江と関係の無い部分を省略致しました。お知りになりたい方は各種人物事典を御参照下さい。]小説『あかるい部屋のなかで』(福武書店、1986年)で古賀春江《海》について「鈍重で無感覚で、なかなか射精できないでかすぎる男根みたいな飛行船というしろものは、古賀春江の古めかしいうえに貧乏くさく、シュルレアリスムというより田舎の未来派とでも言うべき絵を思い出させて、空に浮かんでいるのを見ると苛々する。」と手厳しく批評している(註1)。


(註1)金井美恵子『あかるい部屋のなかで』(福武書店、1986年)p.37
  1. 2017/09/15(金) 14:28:12|
  2. 人物事典
  3. | コメント:0

《婦人像》

婦人像


婦人像

1919年頃
水彩・紙
49×32cm
中野美術館

掲載文献:
目録『中野美術館 作品選』(中野美術館、2014年)pl.105



出典(図版):目録『中野美術館 作品選』(中野美術館、2014年)p.91
出典(作品データ):目録『中野美術館 作品選』(中野美術館、2014年)p.143


〈解説〉
この作品はもともとスケッチブックに描かれたもので、写生風の作品である。モデルは、その顔付きから後に夫人となる岡好江かと思われ、好江を描いた数点の作品中でも早い時期のものであろう。


※当作品の図版は中野美術館様から掲載許可を頂いております。
  1. 2016/09/23(金) 00:19:17|
  2. 作品の紹介
  3. | コメント:0

《干物》

干場_convert_20160311210841


干物

1919年
油彩(支持体不明)
62×51.5cm
個人蔵

展覧会歴:
1953年 「小出楢重・古賀春江展」(神奈川県立近代美術館) no.3



出典(図版):目録『古賀春江展』(神奈川県立近代美術館 鎌倉、1953年)n.p.
出典(作品データ):目録『古賀春江展』(神奈川県立近代美術館 鎌倉、1953年)n.p.


〈解説〉
古賀春江が油彩を描き始めてごく初期の作品。1955年に「古賀春江同好会」の名前で東京国立近代美術館に古賀の遺作が一括寄贈されたが、おそらくその一連のものと思われる。ただ、何らかの理由で寄贈対象から外されたものと推測される。


※当作品の図版は個人蔵ということで本来なら所有者様から掲載許可を頂かなければならないのですが、それが困難なので、代わりに古賀春江研究の第一人者である森山秀子氏(石橋美術館)から掲載許可を頂いております。
  1. 2016/03/11(金) 21:12:30|
  2. 作品の紹介
  3. | コメント:0

《婦人像》

婦人像_convert_20160311170755


婦人像

1919年
油彩(支持体不明)
55×47cm
個人蔵

展覧会歴:
1953年 「小出楢重・古賀春江展」(神奈川県立近代美術館) no.2



出典(図版):目録『古賀春江展』(神奈川県立近代美術館 鎌倉、1953年)n.p.
出典(作品データ):目録『古賀春江展』(神奈川県立近代美術館 鎌倉、1953年)n.p.


〈解説〉
古賀春江が油彩を描き始めてごく初期の作品。1955年に「古賀春江同好会」の名前で東京国立近代美術館に古賀の遺作が一括寄贈されたが、おそらくその一連のものと思われる。ただ、何らかの理由で寄贈対象から外されたものと推測される。


※当作品の図版は個人蔵ということで本来なら所有者様から掲載許可を頂かなければならないのですが、それが困難なので、代わりに古賀春江研究の第一人者である森山秀子氏(石橋美術館)から掲載許可を頂いております。
  1. 2016/03/11(金) 17:23:43|
  2. 作品の紹介
  3. | コメント:0

短詩六つ(坂、花園で、港、七月、関連、或る夜更)

     

二つの脚で立ちながら
左右をかはる/″\に前へ出してゐる
そうすることに依つて
前へ前へと進んでゐる
一人の男が
白い坂道を登つて行く
道は真直ぐにあつた
遠くの方は空の真中に突きささつた道で
男は左右の脚をかはる/″\前へ出し
不思議に 実に巧妙に前へ進んだ
坂の上から
小さい人間が歩いて来た
三本の脚をかはる/″\前へ出し
そうすることに依つて
彼は──正確に言へばステツキを持つた男でしかないが──前へ坂の下へと進むことが出来た
私の眼はこの両人の真上にあつて
実に正確に両方が前進するのを見て
実に実に驚いて終つた。


     花園で

花園で
ぶるん ぶるん ぶるん ぶるんと
花は音を立てゝゐた
よく見ると
からだを揺りながら
ぶるん ぶるん と音を立て
少しづゝ太くなつて行つた
白い花であつた
銀の槍を突き出し乍ら
それは見る眼も痛い程刺し通した
槍は二間も行くとまた花の中へ立ち返り吸ひ込まれた
馬が首を出した
馬でなかつたかも知れない
しかし仮りにそれは馬であつた
馬は別に瞬きもしなかつた
ずんぐりとした首を動かさないので
頭がずつと前へ出てゐた
それは桶のやうであつた
雲がその他にあつた
ブリキ製の雲で
それは極めて鈍く光つてゐた
いつまで〔も〕そうしてあつた
別に関係があるではなし
三つ〔の〕ものが各々そこにはあつた。


     

薄原のやうな水面が一杯に拡がつてゐた
風が吹くと波立つのであつた
薄のやうな波であつた
小さな蒸気船は
水面の波立つ度に
水の中に沈んだ
船の横腹に
数十の窓が二段に並んでゐた
窓の一つ一つに
一つづゝの顔が出てゐた
船が揺れると並んだ顔も揺れてゐた
船が水中に沈んでも顔は窓から出てゐた
その船は時が経つに随つて数を増して行つた
大きな帆前船が一艘あつた
人は誰もゐなかつた
そしてそれは水上にあつて波に動かなかつたが
それ自身上の方に少しづゝ昇つて行つた
上に昇る程速度を増し
形をふくらまして行つた
どんどんそれは膨らんで
終には空中一杯位になつた
それは月であつたかも知れない。


     七月

ほのぼのとした倦怠
そう言ひつゝ私は掌を見た
決してそれは足でなかつた
陽向と陽│蔭《かげ》の間に坐つて居て
私は言つた──ほのぼのとした倦怠──
そして手を見た 掌を
周囲は薄黄色うく〔「う」に「ママ」の注記〕もあつたし青くもあつた
私はそれを怒らなかつた
嘴の赤い鳥が
ほがらかに高音に鳴いた
──嘴の赤い鳥は決して鳴かないとは噓だつたのだ──
それだけの事であつた
私は自分の頭を静かにとりはづし
爼の上にのせて見やうと思つた。


     関連

机の抽斗が開いてゐるのは
人間ばかりのせいであるか
煙草だつて吸はれるし
人はあつちへ行かうと思へば行くことも出来る
そしてぢつと向ふの方まで行けもする
帽子をとつても挨拶するとは決つてゐないし
世界には
鐘の音だつて響き亘る
波打際には泡もある。


     或る夜更

ぼうぼうと煙が棚引き登り
月が真紅に染つて
煙の中を泳ぎ出し
風が空中の花粉を吹き散らし
花がみんな地に堕ちて
凋れ朽ちてゆく地上の此頃になると
友達の顔も忘れかける
時毎に末日の折りの思ひがする
生物共はみんな地に伏し
黒々として動きも出来ず
悪念ばかり刃を砥いで
ひたすら人を虜にする
深夜に
街道に動くものは
人の挽かない車ばかり
荷車ばかり
唯一人で
轆々と無人の夜更を行くのである。



初出:『みづゑ』258号(1926年8月)pp.30-32
底本:古賀春江文集『写実と空想』(中央公論美術出版)p.89-96
  1. 2016/03/11(金) 02:46:38|
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