古賀春江資料室

洋画家・古賀春江(1895-1933)のデータベースを制作中です。

黄色のレンズ (三〇号F) 一九三〇年

我々は空虚を見る。
空虚を歩く。
遠くへ、遠くへ、
どこまで行つても依然として真暗いトンネルだ。
現実が後退りする。

膨大なる脳髄を抱いて一人で抱き合ふ。
この真空の暗は堪へられないと思ふ。
しかし突如としてかすかな希望の明りを見出す。
燦として燃える芽生。

これを決定された運命といふか、神秘といふか、
否、否、
これは季節の黄色いレンズである。



初出:『古賀春江画集』(1931年、第一書房)
底本:古賀春江文集『写実と空想』(中央公論美術出版)p.78-79
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