古賀春江資料室

洋画家・古賀春江(1895-1933)のデータベースを制作中です。

素朴な月夜 (五〇号F) 一九ニ九年

彼の話──私はどうしてさういふ妙な所へ行つたのだらうと思ふ。
水の中の底の方へだんだん落ちるやうに歩いて行くのでした。息苦しくもないのを不思議に思ひながらそれでも落ちて行くのでした。
をかしくてもうやり切れなかつた。
遠い所に白いまん丸い月が出てゐたり、何か地上にも動いてゐた。
一匹の海豚がゐたがそいつは鉄張りで出来てゐるやうだつた。口が大きく開いたと思つたら、私はその中へ辷り込むやうになつて大きく膨れた腹の中へ入つて行つた。とてもおかしかつたよ。



初出:『古賀春江画集』(1931年、第一書房)
底本:古賀春江文集『写実と空想』(中央公論美術出版)p.72-73
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