古賀春江資料室

洋画家・古賀春江(1895-1933)のデータベースを制作中です。

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蝸牛のゐる田舎 (三〇号P) 一九ニ八年

竹林の風は美しく
陽が背中の方から竹林を温めてゐる
私は竹林の中で静かに眠る
竹林の緑は水のやうに冷たく私の肉体もその中で解ける
竹林の中には時間がないやうに陽と共に月も出てゐる
丸い樹木の葉──背中合せに立ちどまる葉
根ごろに咲く赤い花──静かに歩いてゆくやうな花
何にも聞えないが人形が歩いてゆく
あれは蝸牛を引いてゐるのか──いいや、さうでない
蝸牛の背に乗つてゐるのだらう
羊歯の下から出た人で
花を借りて行くのだらう
風のあかりで
すれ違ひすれ違ひ
藪の中は美しいよ



初出:『古賀春江画集』(1931年、第一書房)
底本:古賀春江文集『写実と空想』(中央公論美術出版)p.67-68
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