古賀春江資料室

洋画家・古賀春江(1895-1933)のデータベースを制作中です。

牛を焚く (〇・七〇×〇・五〇尺) 一九二七年

冬の囲炉裡の傍で、
戸外の面白い景色を見た。
大きな人間が、
厳めしい審判官の前で、
牛を焚くのを。

牛はぼうぼうと燃える焚火の上に乗せられて、
楽しさうに何か喰べてゐた。
山の上であつた。
あたりには大木が繁つて、
いろいろな動物や鳥等も楽しさうに飛び廻つてゐた。
何かの祝祭ででもあつたらうか、
牛は完全に黒焦げになつたが、
矢張り莞爾と笑つてゐた。

非常に凡てのものが動いてゐたが、
ものの音は一つも聞えなかつた。
凡てが無音の運動であつた。



初出:『古賀春江画集』(1931年、第一書房)
底本:古賀春江文集『写実と空想』(中央公論美術出版)p.63-64
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