古賀春江資料室

洋画家・古賀春江(1895-1933)のデータベースを制作中です。

パントマイム

僕の少女は形のよい猶太《ユダヤ》人のやうな男と一緒に僕の所へ来たのでした 其男を精確な体温計のやうに大切に脇の下に狭んで 入つて来るといきなりそれを食べやうとしましたが 体温計はガチンと音して壊れたりするのです それでも香水の瓶ではどうする事も出来ないので フルーツポンチはこり/\だわと爽やかに笑ふのでした 紫のシネマはどうしても不合理だといふので 私はなぐさめかねて見えるのでした 唯物辯証法に着色したりするので 全世界の兵隊さんが 上着をキチンと着て ズボンを取つて お尻を丸出しにして歩くのは スポーツの目方を眺める方法だと 泪ながらに教へたりします

   (一九二九)



初出:詩画集『古賀春江』(1934年9月、春鳥会)
底本:古賀春江文集『写実と空想』(中央公論美術出版)p.137
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  1. 2014/09/11(木) 22:35:06|
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