古賀春江資料室

洋画家・古賀春江(1895-1933)のデータベースを制作中です。

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満開の花の咲いた列車

水中に滑らかにある門は舌を出した林檎の如く揺れる 水を沢山飲んだ駒鳥が呟《つぶや》く時天国の華麗は堕落するのです それは零落せる王子の如き美しき感傷に膨らんだ一つの言葉です 永久に崇高なる天体の運行の完全なる皮膚
電話交換嬢の計算が曲つても それは精神の神聖なる権利です
諸君は美麗なる欲望にコルク柱を挿してゐる瓶を打ちふる時ばかり微笑するのです
永遠の苦悩の脚を信ぜよ 監視された水仙は凡ての角度を持つた少女のやうに流れ出す 睡眠者の腹の上を泳ぐ秩序 循環する花冠の唐突なる機械 右手と左手とは同時に彼の世界を持つ 乱酔者の咽喉の祭礼 緒のある交換嬢の桃色の頬 桃色の肌 遠くへ廻る詭計に満ちた論争 白い白い角度ある観察 建築家は凹面鏡を持つて閃光的なる最大の眩暈を刺戟する 半透明なる隠家を追及せよ
文明の時間は間投詞を鳩の如く飛翔さす
博物館の水仙に水仙の白い花が咲いてゐる
向ふの機械を廻はらうよ

   (一九三〇)



初出:詩画集『古賀春江』(1934年9月、春鳥会)
底本:古賀春江文集『写実と空想』(中央公論美術出版)p.140
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  1. 2014/09/11(木) 22:33:09|
  2. | コメント:0
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