古賀春江資料室

洋画家・古賀春江(1895-1933)のデータベースを制作中です。

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黎明の脚

青い薄暗の空間
地平線が波状形に──下は真黒い闇
白い煙の如き線が昇る ゆらゆらと
それは先端に凌宵花の〔#「宵」の横に「霄」〕花を開く
真中に静止してゐるのはガラスのコツプで
赤い球がその冷い水の中に浮いてゐる
それは道徳的な数字が創り出した地球滅尽の極限図であらうか

少女達が嬉々として通り過ぎる
何を話してゐるね
青い青色の中を
眼鏡をかけてゐない眼は無花果のやうに甘い
彼女は途中下車をするかも知れない
雪だ 雪だと思つてゐます

こゝの大気に馴れないのですね
地平線を見ながら
脚でポンポンと蹴るので
地球は少しづゝ歪んでゆきそうです
早く切手を貼りませう
今はもうほのぼのとした夜明けです

   (一九三〇)



初出:詩画集『古賀春江』(1934年9月、春鳥会)
底本:古賀春江文集『写実と空想』(中央公論美術出版)p.143-144
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  1. 2014/09/11(木) 22:29:16|
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