古賀春江資料室

洋画家・古賀春江(1895-1933)のデータベースを制作中です。

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美術家の生ひ立ちと其環境(三)

 私の生れた所は久留米市の街はづれです。寺ばかり並んでゐるやうな町で私の家もその一つです。子供の心にも何となき淋しさと哀れさをを注ぎ込まなくては惜かないやうな鐘の音と老人達の因果話との中に育てられ戸外に出るのを好まなくなり、薄暗い本堂の花や慈眼豊かな金色三尊仏にいつとなく親しみを感ずるやうになりました。
 水勢の緩やかな筑後川、旅水路の〔#「旅」の横に「放」〕草原はのんびりと広がり、両域の平野にも変化なく一望唯坦々として平らかに、四季の変化も割合に単調で人々の風習も平凡、それ等に囲まれた蕪雑や粗野な中に捉へ所のない一味の憂情が育まれてゆくやうに思われます。



初出:『アトリヱ』2巻11号(1925年11月)pp.109-111
底本:古賀春江文集『写実と空想』(中央公論美術出版)p.221
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