古賀春江資料室

洋画家・古賀春江(1895-1933)のデータベースを制作中です。

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展覧会前景

   毎年の事ながら九月の声を聞くと急に各所に展覧会の花が咲く。先づ二科、院展を初めとして構造社、青
   龍社、曰く何、曰く何……而して今年はどんな作品が出るだらうとは興味のあることで、かつまた、展
   覧会見物の指針にもと、前以て一部の方にお伺ひしたところ、御返事を頂いたのは左の通り、先づ
                                             〔編集部〕

 昼間の人間は頭の半分で生きて居る。直線の鋪道に並木の葉、電車と自働車、洟をかむのは花屋であつちへ行きたい。ボンヤリした半分の風景の中で会話と手紙。眼が見えないのに車道を踏み切らねばならない。人の顔は真夜中の真暗な中でしか見えないものだ。手紙といふものを不思議に思はねばならないとは。画はどうしても夜の暗黒の中で描かねばうまく出来ない。燈下の下の画は半分のもの。昼間の画は噓。道は暗闇の中で辻になる。みんなの川が海に出るだらうか。
 秋は冷い海底で他人になる。
 今年も燈下の下で描いた画で半分の画です。花や鳥や貝殻のやうな形のものを塗りました。一〇〇号、八〇号、五〇号位。



初出:『美術新論』7巻9号(1932年9月)pp.54-55
底本:古賀春江文集『写実と空想』(中央公論美術出版)p.222
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  1. 2013/12/27(金) 02:41:36|
  2. 評論・随筆等
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